短編小説「縁」本編・17編目
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文鳥が我が家にやってきた! そして今後の生き方に思い悩みつつ、過去を振り返る理沙。
文鳥のこと、重陽の節句=別名、栗の節句・菊の節句関連、雑学満載。
シーチキンと玉ねぎのマヨネーズ和えトースト、美味しいよ、お試しあれ。(9150字)

では、以下本文。

   ・・・

 9月初旬。
 昼間は夏が居座っているかのように残暑が厳しくも、朝と夕はいくらかホッとさせられる気候となった。
 蝉の声も幾分か弱まり、刺々しかった日差しも和らぎつつあり、秋の足音が微かに感じられる今日この頃。

「じゃ、行ってくる」
「行ってらっしゃい」

 産休をとった理沙は職場へ向かう静也を見送ると、居間に戻り、鳥籠の中の水を取り替え、エサの残量を確認する。
 そう先日、白文鳥を手に入れたのだ。