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差別やむなし [自殺・イジメ・差別・生き方・人間関係]

短編小説「これも何かの縁」より・・・
44編目「マイノリティ」http://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2017-03-10をアップしたので、それに因んだテーマで語ってみる。

この回の話では・・・
自分の娘を、児童養護施設の子どもたちが通う一緒の学校に行かせたくないと考える和彦のことを描いたけど・・・

ワシは和彦の気持ちも分かるのである。

ある人が言っていた。
「差別とは、自分と異質なものを排除し、自分から遠ざけようとする感情でもあり、それは自分と自分が属するコミュニティを守るために必要なものである」と。

上層に位置する者は「守るべきもの」が多く、そのため警戒心が必要だという。
なので差別は当然の感情であると。

和彦の場合、守りたいのは娘の恵美子。恵美子にとってマイナスになる要素はできるだけ排除したい。で、プラスになるようないい環境を与えたい。それだけなのだ。

和彦のように考える親は意外と多いのでは。
なので「お受験」もあったりするのだろう。

やっぱ学校の環境って大切だ。

ワシは鈍くてトロかったし「いじめられっこ」体質だったんで、ガラの悪い学校に入れられていたら、まあ、いじめられただろうな、と思う。

ワシは親の仕事の関係で、転校することが多かった。
なので、2つの中学を経験している。

中1から3年の2学期終わりまでは、国立大付属中学校に通った。

国立大付附属はご存じのように、入試はさほど難しくはない。どっちかというと「抽選」で、つまり運で決まる。

が、それでも国立大付属を受ける子の親は教育熱心であり、勉強が全くできない子は受験しないだろうし、受けたとしても試験で落とされるため入ってこない。ある程度、粒がそろっているのだ。

で、生徒は皆、基本的に真面目。授業中、騒ぎ立てるなんでことはまずなかった。

当時は、先生も非常に熱心で、補習授業などもあった。
自分たちの学年の生徒らをいかに多く、偏差値トップの県立高校に入れるか・・・それが先生たちの目標でもあったようだ。

「偏差値の高い高校を目指すこと」を最上とした価値観を持つ中学校だった。

ワシにとっては・・・「友だちをたくさん作れ」「人気者になれ」「活発になれ」と言われるよりは、シコシコと勉強し、いい成績をとるほうが、はるかにラクであり、居心地の良い学校だった。

勉強さえできれば、優位に立てる。
性格的にちょっと変わっていても、勉強ができれば決して虐められない。

今の時代のようにカーストがあって、お友だちや彼氏彼女がいること、おしゃれでセンスが良くイケていること、コミュニケーション能力が高いこと、ダサいのはダメでオタクもダメ、などなど、そういったことが求められていたら、劣等感に苛まれ、ストレスで辛い学校生活を送ることになっていただろう。

だが、3年の3学期で転校となり、別の県の普通の市立中学校に通うことになった。

そこは・・・授業中、走り回る生徒がいたり、先生に対し蹴ったりする生徒もいたり・・・
授業中、騒がしいのが当たり前。私語をする生徒だらけ。

先生は、騒がしい生徒や走り回っている生徒は無視し、そのまま授業を進めている。

そんな学校だった。

もしも、その学校に中1からずっといたら、たぶんワシのような人間はお勉強することなく、高校入試で非常に困ったことになったはずだ。塾に行くハメになっただろう。

その上、ワシは愚鈍だったし、一般女子が興味を持つことに全く興味が持てない変わり者だったんで、ハブられ、おそらくイジメられたかもしれない。

ただ、そこは3年の3学期しかいなかったし、高校入試で休んだりしたので、そこの中学校との縁は非常にうすかった。なのでそういった害は受けてない。

学校選びはかなり重要だ。

いや、しっかりした、強くてたくましく、周りに感化されずに勉学に励み、ガラの悪い連中に目をつけられないように、虐められないように人間関係をそつなくこなし、己の身を守れる強くて頭のいい子どもならばやっていけるだろう。

けど、そういうことが苦手な、弱い子どももいるのだ。

自分の身を守るため、自分とは合わない人間・自分にとってマイナスになりそうな人間・害になりそうな人間を遠ざける・・・誰でもやっていることだろう。

それが自分の子どものこととなれば、なおさらだ。

なので、和彦の考えは『当然』とも思っている。

とまあ、そんな考えになったのも、わりとごく最近。
それまでは単純に「差別はいけない」と思っていた。甘いきれいごとでしたね^^;

いつもネタにして申し訳ないけど・・・
女性の人権向上のために働いている上野千鶴子氏も「恋愛弱者やオタクは、性犯罪を起こさず、再生産されずに、平和に滅びて行ってほしい=淘汰されてほしい」と、ナチスな考えを堂々と発言されていたそうだ。

人間は差別するのが当たり前なのだ、とここにきてワシも思い知った。

自分にとって気に入らない人、価値観が合わない人、理解できない人、生理的に受け付けられない人、気味悪い人・気持ち悪い人・・・そういう人は遠ざけたいし、関わりたくない。

で、そういう人はつい悪者=「犯罪者予備軍」に見えてしまうこともあるのだろう。
人間のサガなのかもしれぬ。

なので「オタクのような気持ち悪い者はこの世からいなくなってほしい」という上野千鶴子氏の気持ちも理解できるようになった^^;

この世からなくすには、殺すか自殺してもらうしかないだろうけれど、上野氏もそこまでは望んでいないようで、ただ再生産されずに淘汰されることを願っているようだ。

なので、お互い、関わらない、距離を置く、これくらいしか解決方法はない。
理解し合うなんてことは不可能。

ということで・・・
いじめ問題については一つだけ、「無視される」「仲間外れにされる」というのだけは仕方ないと思っている。

その代り、友だちがいないヤツはダメ、独りぼっちは恥ずかしい・寂しい・哀れ・かわいそう、という価値観がなくなればいいと。

友だちなんていなくていいじゃん、価値観の違う者が仲よくなれるはずもなく、無理してつきあうこともない。

ただ・・・友だちがいないことでも問題視し、ややもすると犯罪者予備軍扱いする大人がいるからなあ。

世間は何かと「普通ではない人」「基準外の人」「平均から外れた人」など、自分と違う者を問題視したがり、見下し、ややもすれば悪に見立て有害視したがる。

だから児童養護施設の子どもも問題児扱いされるのも仕方ないのかもしれない。

学校=クラスは、ある期間、人間関係が固定し、流動しない。
どんな育ちの、どんな子が集まって来るのか・・・教育熱心な親ほど気になるだろう。

子どもはもろに周囲の影響を受ける。

自分の子を守るために必死になるだろう。
それが今の和彦の姿なのだ。

児童養護施設の子どもたちを問題児扱いする和彦は間違っているかもしれない。
でも、これも仕方ないのだ。

だって上野千鶴子氏のように、オタクを性犯罪者予備軍扱いし、有害視する人もいるのだ。

ほかには・・・中年童貞、自衛隊員や米兵、恋愛工学生を性犯罪者予備軍扱いする人もいる。

その一方で、イスラム系難民や移民、在日外国人を、性犯罪者予備軍扱いし、有害視したら、「差別だ、偏見だ」と言って怒り、正義面したりする。

結局、自分が守りたい者だけを守りたいのだ。
そして印象だけで『害を及ぼす可能性がありそうなカテゴリーに属する人間たち』を差別する。

守りたい思いが強ければ強いほど、差別主義者になる気がする。
フェミニストが、男性差別に走り、男性の人権など考えなくなるように。

ま、女性を人間扱いしない男性もいるので仕方ないとも思う^^;

だから、それぞれ差別やむなし。

ひとくくりにするな、偏見をやめろ、というのは実は難しい。
オタクや恋愛工学生の一人が性犯罪を起こせば、そのカテゴリーに属する者すべてが警戒され、犯罪者予備軍となる。米兵、在日外国人、移民難民も同様。

でも・・・医師・医学生らの集団婦女強姦事件が続いたけど、医師を性犯罪者予備軍扱いする人はあまりいないよな。

うん、結局、好き嫌いの問題かも。

オタクや恋愛工学生は嫌悪されているので、犯罪者予備軍に見立てられる。
自衛隊や米兵が嫌いなリべサヨも、彼らを悪に仕立て犯罪者予備軍にしたがる。

一方で、医師が嫌いな人は、まあ、あまりいない。医師がいないと困るし。
だから医師というカテゴリーが悪に仕立てられることはない。

人は、自分が嫌いなカテゴリーを差別したい。

で、自分を守るために、自分たちを敵視している者(または自分たちが敵視している者)、そしてその者が所属するカテゴリーを攻撃する。

相手を悪に仕立て、自分の価値観を正義としたい。
なので仲良くなることなどありえない。

異なった経験を積んだ価値観の違う者同士が話し合って理解し合うのは難しい。
よって、和彦と和江が分かり合うということもないだろう。

誤解なきよう。
和江や文雄が「差別しない人間」「偏見を持たない人間」ということではないのだ。

和江や文雄はたまたま施設出身の人間とのつきあいがあり、施設育ちの四条夫妻や長山春香がルールを守り、問題など起こさない真面目な人間であることを知っているので、和彦の考えに違和感を持てただけのことだ。

和江は和江で、専業主婦の真理子とはウマが合わず、そのことでどこか専業主婦に偏見を持ってしまいがち・・・。
文雄は、郷田浩のような人間=郷田と同じようなカテゴリーにいる人間が苦手であり、郷田に似たタイプの人間に対し、警戒するはずだ。

そして、もし四条夫妻や長山春香が粗暴で問題を起こす人間だったら、和江も文雄も、和彦と同じ考えを持ってしまっただろう。

差別や偏見は誰の心の中にもあるもの。
なくすのは難しい。


※ほか、和江VS真理子、文雄VS郷田浩の話はこちら。
「お金が縁を左右する」http://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2017-01-02
あらすじ→小林家のお正月。アラフォー独身女子・和江と弟夫婦との確執が始まる。

「満開の桜に夢を見る」http://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2017-01-24
あらすじ→小林和江の義妹・真理子の思い。和江とは相性が悪い真理子。その専業主婦としての誇りとは。

「風のない日の鯉のぼり」http://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2017-02-02
あらすじ→小林和江の従弟・オタク漫画家沢田文雄登場。自身に劣等感を抱く彼の過去とは。

「同窓会」http://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2017-03-01
あらすじ→オタク漫画家・文雄、高校の同窓会へ。いじめっ子元同級生と会う。沢田のとった行動とは。



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短編小説集「縁」番外編のお知らせ。

生きづらい世の中、どう折り合いをつけて生きていけばいいのか、劣等感をどう飼いならせばいいのか、これが物語の共通テーマです。

「蝉―僕のランク」http://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2016-09-05
※あらすじ→学校で下位ランクの『僕』、最下層女子『長山春香』に何を思う。
学園もの、うむ、ちょい辛め、シリアスで重いけど救いはあるのじゃ。

「あだ名―中秋の名月」http://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2016-09-14-3
※あらすじ→白井月子が自分のランクを守るために犠牲にしたのは・・・
テーマはイジメ。己の容姿に劣等感を抱える月子が犯した罪とは。

「豚草―腐女子の誇り」http://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2016-09-19
※あらすじ→中学時代、下位ランクだった長山春香、白井月子、そしてもう一人「モヤシ」こと八島麗華の話。彼女は、長山春香を犠牲にした中学時代をどう想い、今、どうしているのか。

「お彼岸―アラフォー女子の幸せ」http://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2016-09-24-1
※あらすじ→恋愛や結婚を一歩引いて見ている冷静な未婚アラフォー女子が主人公。果たして彼女は勝ち組なのか負け組なのか。お彼岸のプチ知識など情報も入った軽く読める物語です。

「血液型診断―栗の節句」http://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2016-10-07
※あらすじ→若夫婦のほのぼのハートフルなお話。血液型のこと、重陽の節句(栗の節句)の情報ネタ入り。

なお、短編小説「縁」本編の目次はこちらhttp://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2016-10-28


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タグ:オタク 差別
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