昔、音大へ行くメリットは「結婚の条件を良くするため」という感じだった。
少なくとも親御さんはそのつもりだっただろう。
いい条件の男性と結婚し、家庭に入った後、小遣い稼ぎにピアノを教える・・・それが一番だと。
プロのピアニストになれるものなど、ごくわずか。
よくて音大の大学院・研究科に残り、講師になれるかどうか、だ。
しかも多くは常勤講師にはなれず、非常勤だ。あまりの待遇の悪さに辞める人もいる。
で、その後の人生においても音楽が捨てられないとなってしまうと・・・
けっこう結婚にあぶれるのである^^;
結婚条件が「ピアノの練習時間がほしい」「グランドピアノを置きたい、それなりに広い部屋と防音も必要」となるからだ。
自分の経済力でそれが叶えられればいいが、ま、ピアノの先生じゃ無理。
結局、高い条件を、結婚相手につきつけることとなる。
けど、相手に高い条件をつきつけられるほど、自分にそれだけの価値があるのか? というと、はっきり言って、ない^^;
じゃあ、その条件を捨てていいっていうほどの結婚相手に巡り合えるのか、というと・・・仮に巡り合ったところで、そんな素敵な相手から選ばれることは、まあ、ないだろう^^;
これが現実だ。
「のだめカンタービレ」で「音大生は不良債権」という言葉も出てきた通り、お金がかかるわりには、卒業後、一般企業への就職には困り、ピアノの先生・講師業ではお小遣い程度の稼ぎしか得られない。
よくて公立学校の音楽の先生。
(私立学校の音楽の先生は常勤か非常勤かで違うだろうが、どっちにしろ、さほどよくないだろう)
けど、教師になるなら、何もお金がめちゃくちゃかかる音大に行かなくても、どこかの大学へ、「教職課程」と「音楽科」があるところに行けばいい。
クラシック音楽市場は狭い。
で、案の定、収容定員数を割る私立音大が増え、平成17年度、2万人いた音楽関係の学科の学生数は、平成27年度には1万6千人に減ったという。
少子化の影響もあるだろうけど、「音大はコスパが悪すぎ」と現実的な考えをする人が増えたせいもある気がする。
昔は「音大は結婚の条件にいい、結婚後は家庭に入り、ピアノなどを教えたりして小遣いを稼ぎ、優雅な奥様生活」を目論み、音大に夢を持ったお嬢さんや親御さんも多かった。一般企業への就職は考えなかっただろう。
というか昔は「女性は就職しても結婚までの腰掛け」という考えの人も多く、親もそのつもりだった。
が、今は女性も仕事をし、稼がなければいけない時代となり、音大にそれだけお金をかけるなら、別のことにかけたほうがいいと考える人が増えたのだろう。
それに音大に行かなくても、ピアノなどは、個人で先生について勉強できる。
昔は、一般の人が、音大の講師・教授につく、というのは難しかっただろうが、今は音大の講師や教授のほうが生徒を欲しがり、趣味で弾きたいという一般学生や社会人も相手をしてくれる。
で、何と言っても先生たちは優しくなった。親切になった。
音大も学生を得るために、いろいろとサービスが良くなったと聞く。
昔は・・・こういっちゃなんだが、音大の講師・教授先生は威張っていた。
それどころか、教え方もなんだかなあ・・・という先生がけっこういた。
底意地悪な先生もいた。殿様商売だった。
とにかく音大の講師・教授先生は偉く、生徒側からは何も言えないという雰囲気だった。
けど、今は違う。先生がそんな態度でいたら、生徒のほうから切られるだろう。
ネットのおかげでいろんな情報が手に入り、いろんな奏法、練習方法が動画で見られるようになり、独学も可能。
私も今の時代ならば、音大は勧めない。
音大へ行っても、主になるのはレッスンだ。そして一度、先生が決まってしまえば、先生を替える、というのも簡単ではない。
音大に行かず、個人で先生についたほうがいい。
万が一、その先生と合わない、もっと違う先生につきたいとなれば、簡単に替えられる。
音楽専門の学科も、個人で勉強しようと思えばできる。
ソルフェージュも音楽理論も和声学も、個人教授してくれる先生は簡単にネットで見つかるだろう。
音楽史は独学が可能。本でもネットでも調べられる。
※ちなみにショパンのことが知りたいなら、マンガ「ショパン物語」がよいと思うぞ。
http://www.piano.or.jp/report/01cmp/c_chopin/↑手前味噌で申し訳ないが、ワシのマンガじゃ。音大の教授も読んでいるという話じゃ。
おっと話を元に戻そう。
仲間がほしいなら、ピアノなどの音楽関係のサークル、コミュニティもネットで簡単に見つかる。
発表会や演奏の機会もそういったところで得られる。
音大へ行くメリットをあげろ、と言われたら・・・う~ん、今の時代だと・・・メリットが思い浮かばない。デメリットばかり。
今時、「音大=結婚の条件が良くなる」はないだろう。
条件のいい人と結婚したいなら、音大行くよりも、若さで勝負(20代前半で婚活)したほうがいいだろうし、一般の「お嬢さん大学」を目指した方が、まだお金はかからない。
いや、もちろんお金に余裕があり、お金持ちであれば、そもそも「コスパが悪い」などと考えないだろうけど。
よほど「音楽漬けの学生生活を送りたいんです」っていうんじゃない限り、音大へ行く意味が見つからない。
ピアノなどの技術は音大へ行かなくても得られるのだから。
卒業後、音楽で飯は食えないし、一般企業への就職を目指すなら一般大学へ行った方がずっといい。
なので、つぶれる音大が出てきても仕方ないだろう。
そうだ、耳の痛い話をしておこう。
ヴァイオリニストの五嶋龍氏(今現在「題名のない音楽会」の司会をしている)は以前、インタビューでこんなことを言っていた。
「音大はバカが行くところ」当の五嶋龍氏はハーバード大の物理学を学ぶ、卒業している。
本当に頭のいい人は何でもできるのである。
東大生のほうがピアノが上手かったりする。
医者でピアニストという人もいる。
彼らは短時間の練習で、事足りるのである。
(まあ、ショパンも「練習は1日3時間でいい。それ以上は無意味」と言っていたけど)
ま、ワシの時代から、一般の音大生は「専門バカ」「世間知らず」「大学受験をしていない=学力不足」「視野が狭い」と言われてきた。ピアノの腕も「お嬢さん芸」。プロのピアニストには遠く及ばない人がほとんどだ。
音大の入試は、実技が難しいとされるけど、課題曲を半年かけて憶えればいいのだから、ラクといえばラクかもしれない。それより一般大学のあの広範囲の学科の勉強のほうがよほどキツイのではと思う。
五嶋龍君の「音大はバカが行くところ」に・・・まあ、たしかに自分の場合は「バカで頭悪いです、ダメ人間です、ごめんなさい」と認めるしかない。
(音高では、トロいので「トロちゃん」と呼ばれていたほどに、ワシは愚鈍で頭の回転が鈍いヤツだった^^;)
あれだけの膨大なエネルギーとお金を使ったわりには、世間でいうところのリターンは少なかった。
今ではうちの親も、音大へ行かせたのは失敗だったと、後悔している。これが現実だ^^;
(何をもって「リターン」というのかは置いておいて、それまでかかった学費やレッスン料に見合う稼ぎはない)
で、結婚した元音大生は、たいていグランドピアノを実家に置き、子育てなどで忙しくなりピアノは弾かなくなる人も多い。弾かなくなると、とたんに腕は落ち、取り戻すのは大変だ。
練習するにしても、マンションでは防音しないと近所迷惑。
で、実家に置いたグランドピアノは粗大ゴミとなり・・・。
う~ん、やはり相当にコスパ、悪いかも。
現実的な暮らし・生活を考えるとね。
というわけで、自分はとてもコスパの悪い人生を歩んでしまったのであった。
まさに「のだめ」の言う「不良債権」人間じゃ。
※関連記事
「子育て・過保護で何が悪い」(五嶋龍氏を育てた母・節さんの教育論)http://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2016-09-07「不倫・略奪愛の末に成功した五嶋節さん」(五嶋みどり氏・龍氏は異父姉弟)http://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2016-09-10-1・・・・・・・・・・
追記。
ええっと、うちの音大には、ピアノ科の場合、「ピアノ演奏家コース」と「ピアノ専攻」があり、名前の通り「演奏家コース」のほうが上のランク。成績が良ければ、特待生として授業料免除となる。
で、音大に入った時(音高だったかな、この辺、うろ覚え)、入学式かなんかで理事長がこんなことを言っていたっけ。
「あなたたちは、一部の優秀な学生のための肥やし」
つまり、普通の学生は大学にとって「金だけ出してもらう単なる肥やし」なのだと。
普通の学生は、花を咲かせるのだろう優秀な学生に、コンクールなどでいい成績をとってもらう(学校の名前を売ってもらう)ために存在する「お金を払う人」ということ。
土の中の「肥やし」が嫌だったら・・・悔しかったら特待生になってみろ、花を咲かせてみせろ、ということじゃの^^;
ちなみに芸大では、学長かなんかがこんなことを言っていたそうだ。
「芸大に入っても、将来の保障にはならないから」と。
音楽のほうで芸大に入るには、そりゃ、めちゃくちゃコスト(お金と時間)がかかる。国立で授業料は安いといえど、子どもの時からの半端ではない高額なレッスン料を思えば、かなりのお金だ。
けれど、芸大出て稼げるか? となると、大いに疑問なのである^^;
ま、芸大のメリットって、「芸大、すごいね」と人から言われるくらいかな^^;
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