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子育てはコストがかかる(保育園と児童養護施設・日本死ね問題) [家族・夫婦・子育て・子なし]

牛乳アレルギーを持つ5歳の娘に、牛乳をわざと飲ませた母親が警察に逮捕された事件があった。

母親は事件を起こす以前、3回も児童相談所に「子どもを預けたい」と電話相談し、警察署にも1回、相談に訪れたようだ。
母子家庭のようでダンナはおらず、周りに助けてくれる人はいなかったのだろう。

アレルギーを持った子どもを一人で育てる母親・・・精神的にも体力的にも辛かったのだろうと推測する。
もちろん母親に加害された子どもはもっとかわいそうだが。

母親がこんな事件を起こしたことで今後、その子どもは児童養護施設に送られるのかもしれない。

児童相談所や児童養護施設のことは、短編小説「これも何かの縁」(本編)でも、主人公の四条静也と理沙の二人が両親を亡くし児童養護施設で育ったという設定から、少し触れてきた。

一番詳しく話題にしたのは・・・
19編目「封印された過去」http://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2016-12-09-2だ。

まず、児童相談所は一時預かりになるので、子どもは学校に通うことができない。
なので、そう簡単に子どもを預かることはないのだろう。

長期預かりになれば児童養護施設へ送られる。こちらはもちろん学校には通えるが、校区が違えば転校をしなくてはいけない。

子どもは生活する場所も学ぶ場所も環境が変わり、相当なストレスを抱え込むことになる。

で、やっぱり職員は親代わりにはなれないし、子ども同士の集団生活になるからイジメなどいろいろと問題は起きるだろう。

「保育園落ちた日本死ね」で、保育園待機児童問題が取りざたされているが・・・
安く利用できる認可保育園は、シングルマザーや低所得世帯で、どうしても働かないと生活できない人が子どもを預ける福祉としてのシステムである。
恵まれている人は原則、利用できない。

希望する人、全員が認可保育園に入れるようにするには、まあ、けっこうなコストがかかるだろう。
0歳児の場合、一人当たりかかるコストは年間500万円だという。

やはり、まずは『本当の弱者』に税金が投入されるべきでは、とも思う。

児童養護施設、職員の数、全く足りていないという。
同じく児童相談所の預かり施設も。

保育園よりも、こっちの問題の方が先だろう。

そういえば、保育園に落ちた人が自治体(三鷹市)を提訴したニュースもあった。
http://girlschannel.net/topics/990122/

四人の子持ちで、妻のほうは大学の研究職。が、フルタイムではなく、おまけに「学生扱い」されたため、入園優先順位が下がり、落選したようだ。
第三子までは保育園に入園できたそうだが、第四子は二年続けて落ちたという。

自治体を提訴し、裁判を起こす余裕があることから、恵まれた方に入るのでは、と。

税金はやはり恵まれない人、弱い立場の人、弱者へ優先的に投入されるべきでは、と思ってしまった。

「保育園落ちた日本死ね」が話題になったが・・・地方のほうには待機児童問題はないという。東京とその近辺の問題。つまり日本全体の問題ではないので、「日本死ね」というのもおかしいのだ。

まあ、とにかく「日本死ね」のおかげで、保活するママへの目は厳しくなったと思う。
落選した人は、日本全国平均で見れば「恵まれているクラス」に入る場合がけっこうあるだろうから。

本当に困っている低所得家庭やシングルマザーは落選することはない。

ただ、公務員は優先される。
なので短編小説「これも何かの縁」の四条理沙は保育園に入れるかどうかについてはさほど悩んでいない。あくまで仕事と子育ての両立に悩んでいる。
そういうことでは恵まれた方に入るのだろう。(けど助けてくれる実家の両親はいない)

子どもをもつなら、よくよく考えないといけないかも。
周りに助けてくれる人はいるか、配偶者は子育てに責任をもってくれるのか、家庭を築く上で、配偶者はそれにふさわしい人間なのか、子ども優先の生活ができるのか、などなど。

で、子どもが病弱であったり、障碍を抱えていたりすれば、やはりいろんなものをあきらめないといけなくなるかもしれない。

「これも何かの縁」では公務員という比較的恵まれた環境にある四条夫妻だが・・・
それでも、子どもは一人しか持たない、という設定だ。
助けてくれる実家の両親がいなければ、それ以上、子を持つのは無理だ。

四条夫妻、とくに夫の静也は悪く言えば計算高く、良く言えば理性的で現実主義者なので、無理はしない。
自分ができるのはここまで、と冷徹に線引きをする。

また14編目「七夕の願い」http://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2016-12-03-1にて・・・
アラフォー独身女性の小林和江も、自分が責任とれないものには手を出さず、自分が欲しいもの・捨てられないものの優先順位をつけ、周囲に迷惑をかけてまで、全てを手に入れようとするのは我ままだと考えている。そう、小林和江も感情に流されず計算する人だ。
※四条静也は小林和江に反目しているが、実は二人は根本的な考え方は似ていたりするのである。

そんなわけで・・・4人も子育てする人は本当に立派だけど、保育園を利用しながら仕事と両立させようというのであれば、もっと考えた方がよかったのでは、と思った。

三鷹市であれば、やはり待機児童問題があっただろう。保育園に入るのに競争率が高いことは分かっていたはずだ。

提訴しても、おそらく負ける。じゃないと自治体がもたない。
けど負けると分かっている提訴する余裕があるなら・・・そりゃ、落ちるのは当然だろうとも思ってしまう。

女性の人権も大切だし、子育てと仕事の両立というのは立派だが、本当の弱者=虐待されている子や養護施設の子どもたちなどに、もっと税金が投入されるべきだろう。
また子どもを持つなら、よくよくの覚悟と計算が必要かもしれない。

保育士の数も足りないが、養護施設の職員の数も足りない。
どちらを優先すべきかというと、養護施設のほうだと思うのだが。

ま、これも権利VS権利だ。権利の奪い合い。
現実問題、全ての人の権利(欲求)を公が保障する余裕はない。

だから女性(働くママ)の権利を最優先に、待機児童問題を最優先に、というとちょっと首をかしげてしまう。
「保育園落ちた日本死ね」と言って、働くママたちの心の叫びだという擁護の声を聞くとなおさら・・・だ。

養護施設の子どもたち、および職員の心の叫びのほうが深刻度が高いように思う。

だって、保育園に落ちるのは、そこそこ恵まれた人だから。
(働かないと生活できないほどの低所得世帯は保育園に入れるはずだ)

ま、残念だけど、結局、女性は、子どもか仕事か選ぶことになるのだろうな。

老人介護施設も足りないし、介護離職する人もいるわけで・・・
子供は成長して手がかからなくなるが、老人は違う。
子育ても辛いだろうが、介護はもっと辛い。終わりがないから。

ということで、保育園問題が最優先課題とは思えなくなってしまった。

「日本死ね」によって、待機児童問題がクローズアップされたと喜んでいるリべサヨもいるが、たぶん、この問題を厳しい目で見る人が増えるだろう。

保育園よりも、介護施設そして児童養護施設のほうが先だ。

ま、「死ね」と叫びたい人は、働くママに限らず、たくさんいるということだな。

そして、子どもがその言葉を口にすることを、大人は注意することができなくなった。
流行などしてないのに、流行語大賞トップテンに入り、その言葉を取り上げた国会議員が表彰されるような社会なのだから。

そう、その言葉を流行らせるために、わざと流行語大賞で話題にしたのではとすら勘繰ってしまった。
(日本の象徴の一つである神社が「日本死ね」と落書きされたり・・・殺伐とした世の中になるだろう)

待機児童問題の解決を最優先にしたいのであれば、保育園開設に反対する地元住民を蹴散らし、住民のサービス(他の福祉施設閉鎖、図書館閉鎖など)を落としてでも自治体のお金を保育園へ回すか、あるいは住民税の値上げをしてもらうしかない? 

ま、削れるもの(地方議員報酬、手当、地方公務員の給料や諸々の手当て、などなど)はたくさんあるだろうから、そういった他の人の権利を奪うしかない。

※関連記事
「『死ね』が流行の兆し」http://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2016-11-26

・・・・・・・・・・
余談。

19編目「封印された過去」http://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2016-12-09-2にて
無痛分娩について触れた。

フランスなどヨーロッパでは無痛分娩が当たり前だ。
麻酔なしで手術しないだろう? 麻酔なしで抜歯しないだろう? それと一緒だ。
痛みが取り除けるなら、取り除くほうがいいに決まっている。

が、日本ではまだ無痛分娩はポピュラーではないようで、不思議だ。

リスクは自然分娩ととんとん。ならばラクに産める無痛分娩のほうがいいだろう。
局所麻酔だから、赤ちゃんには全く影響ない。

麻酔費用5万円のお金がもったいない、出せない、というのであれば・・・そもそもそこにケチるほどに経済的余裕がない中、子育てをやっていけるのか、とも思う。(もちろん、公から補助があれば一番いいが)

ただ無痛分娩を扱っていない産院もあり、産院そのものも少なく、保育園以前に、産む場所を探すのも苦労するという。
おまけに小児科も少ない。

つまり日本は「子どもにコストをかけない国」であり、実は少子化になるように仕向けている気もしないでもない。

まあ、とにかく、ワシが妊婦だったら、無痛分娩を選ぶ。
それに反対するようなお金にケチなダンナ、または「お腹を痛めてこそ」という迷信を信じ、赤ちゃんに悪影響を及ぼすという昔の古い知識に捉われるような科学的でないダンナだったら・・・妊娠する前に別れることも考えるだろうな。
一緒にやっていけないもの。

妻を大事にするか、家庭を大事にするか、家庭を優先するかどうか、ダンナさんの態度はこういったところにも表れるのかもしれない。

もちろん、無痛を選ぶかどうかは個人の自由。
お腹を痛めてこその自然分娩がいい、と妊婦さん自身が思っているのであれば、それでいいのだけど。

・・・・・・・・・・
短編小説集「縁」番外編のお知らせ。

生きづらい世の中、どう折り合いをつけて生きていけばいいのか、劣等感をどう飼いならせばいいのか、これが物語の共通テーマです。

「蝉―僕のランク」http://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2016-09-05
※あらすじ→学校で下位ランクの『僕』、最下層女子『長山春香』に何を思う。
学園もの、うむ、ちょい辛め、シリアスで重いけど救いはあるのじゃ。(5250字)

「あだ名―中秋の名月」http://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2016-09-14-3
※あらすじ→白井月子が自分のランクを守るために犠牲にしたのは・・・
テーマはイジメ。己の容姿に劣等感を抱える月子が犯した罪とは。(6200字)

「豚草―腐女子の誇り」http://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2016-09-19
※あらすじ→中学時代、下位ランクだった長山春香、白井月子、そしてもう一人「モヤシ」こと八島麗華の話。彼女は、長山春香を犠牲にした中学時代をどう想い、今、どうしているのか。(4450字)

「お彼岸―アラフォー女子の幸せ」http://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2016-09-24-1
※あらすじ→恋愛や結婚を一歩引いて見ている冷静な未婚アラフォー女子が主人公。果たして彼女は勝ち組なのか負け組なのか。お彼岸のプチ知識など情報も入った軽く読める物語です。

「血液型診断―栗の節句」http://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2016-10-07
※あらすじ→若夫婦のほのぼのハートフルなお話。血液型のこと、重陽の節句(栗の節句)の情報ネタ入り。

なお、短編小説「縁」本編の目次はこちらhttp://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2016-10-28


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